AIに「相続相談はどこにすべき?」と聞くと何が起きるか|5エンジン340回答の実測データ【2026年8月】
公開日: #業界別AI言及率データ #相続相談 #士業 #実測データ #AI検索 #GEO

この記事でわかること
- 「相続の相談はどこにすべき?」等の質問で、AIが事務所名をほとんど挙げないという実測結果
- 事務所名の代わりにAIが出典へ選んでいる媒体(朝日新聞「相続会議」・国税庁・YouTube)
- そのなかで唯一、名前と引用の両方で存在感を持つ事務所が何をしているか
- この数字をどう測ったか(質問文・エンジン・期間・判定方法をすべて公開)
結論: AIは相続の質問に「事務所名」でなく「専門家の選び方」で答える
「相続の相談はどこにすべきか」とAIに聞いたとき、特定の事務所名は出てくるのか。当社は業界ベンチマーク定点観測として、相続相談カテゴリの質問5問を5つのAIエンジンで毎日観測しています。本記事は直近14日間(2026年8月6日〜19日)に取得したAI回答340件の集計です。
結果はSaaS系カテゴリと正反対でした。回答340件に対して事務所・サービス名の言及は合計27件。同じ観測設計の勤怠管理カテゴリ(言及901件)の33分の1です。AIは「どの事務所がよいか」ではなく「税理士・司法書士・弁護士のどれに相談すべきか」「無料相談窓口はどこか」という職種と手続きの一般論で答え、その出典として専門メディアと公的機関を引用しています。
※本記事のデータは、AIの回答に事業者名が登場した頻度の観測値であり、各事務所・サービスの品質・優劣を示すものではありません。士業の広告に関する規律に配慮し、本記事は観測事実の記述に限定しています。計測方法は§5を、データの限界は§6をご覧ください。
1. 事業者名の言及率 — 最多でも4%。「名前が出る」こと自体が例外
観測期間内のAI回答340件のうち、観測対象9ブランドで言及が確認できたのは6、最多でも税理士法人チェスターの4%(15件)でした。
| 事業者 | AI言及率 | 内訳(340回答中) |
|---|---|---|
| 税理士法人チェスター | 4% | 15件(引用つき 0件) |
| 税理士法人レガシィ | 2% | 6件(引用つき 0件) |
| ベリーベスト法律事務所 | 1% | 2件(引用つき 0件) |
| 弁護士ドットコム | 1% | 2件(引用つき 0件) |
| 辻・本郷税理士法人 | 0% | 1件(引用つき 0件) |
| OAG税理士法人 | 0% | 1件(引用つき 0件) |
日別で見ても、毎日登場するのはチェスターだけでした。
2. ではAIは何を出典にしているのか — 「相続会議」217件・YouTube 180件・国税庁44件
言及が出ない代わりに、引用リンクは2,398件と他カテゴリ並みにあります。AIの回答を実際に支えている媒体はこちらです。
引用ドメイン1位は朝日新聞の相続専門メディア「相続会議」(217件)。報道系メディアが持つ「専門家の選び方」「無料相談窓口まとめ」の記事群が、AIの回答の背骨になっています。国税庁(44件)や法テラス系の公的情報もこのカテゴリらしい引用先です。
ここで注目すべきは税理士法人チェスターです。言及率4%は小さく見えますが、それでもカテゴリ最多。そして自社サイト(chester-tax.com)が引用ドメイン3位・113件で、「税理士の選び方」「報酬相場」「無料相談窓口」といった検討支援コンテンツが繰り返し出典に選ばれています。名前の言及と引用面の両方で存在感を持つ唯一の事務所であり、士業カテゴリでAIに存在を認識させる経路はコンテンツであることを示す実例です。
3. エンジン別の違い — 名前を出すのは主にCopilot
言及27件の内訳をエンジン別に見ると、Copilotが15件と過半を占め、GAIO・ChatGPT・Geminiは各1〜2件でした。Google系エンジンとChatGPTは、士業カテゴリでは特に事業者名の提示に抑制的です。
表は横にスワイプできます(最初の列は固定表示)→
| 事業者 | GAIO | AI Mode | ChatGPT | Gemini | Copilot |
|---|---|---|---|---|---|
| 税理士法人チェスター | 3% | 6% | 1% | 1% | 12% |
| 税理士法人レガシィ | 0% | 3% | 0% | 0% | 7% |
※GAIO = Google AI Overview(Google検索のAIによる概要)。分母 = 各エンジンの回答数(GAIO / AI Mode / ChatGPT / Gemini 各70件・Copilot 60件)
質問別では、「相続の相談ができる専門家でおすすめは?」という直接的な質問でのみチェスターが18%まで上がり、名義変更・遺産分割などの手続き相談ではほぼゼロでした。事務所名が出るのは「事務所を探す」質問だけで、相続の悩みそのものを聞く質問では職種の一般論に徹する——AIの答え方は一貫しています。
4. 士業カテゴリのGEOが意味すること
このデータから士業マーケティングに引ける示唆は3つあります。
- 「AIに名指しさせる」competitionはまだ始まっていない。言及27件という空白は、リスクではなく先行余地とも読めます。現状で毎日名前が出るのは1事務所だけです
- 勝負の面は引用。AIの回答は相続会議・国税庁・専門家サイトの解説を組み合わせて作られており、そこに自社の解説コンテンツを載せられるか(チェスター型)が現実的な経路です
- 「無料相談窓口」の文脈が最頻出。AIは費用と相談先の質問に窓口紹介で答えるため、無料相談・初回面談の情報を構造化して持つサイトが引用されやすい面になっています
士業の広告規律のうえでも、「AIに品質を語らせる」のではなく「AIが引用する事実情報を整備する」というGEOの型は相性がよい領域です。
5. 計測方法(すべて公開します)
- 質問文
- 5問(下記に全文)。質問文に事業者名は含めません
- エンジン
- GAIO(Google AI Overview)・AI Mode・ChatGPT・Gemini・Copilot の5種。毎日1回取得
- 期間と回答数
- 2026年8月6日〜19日の14日間、合計340回答(GAIO 70件・AI Mode 70件・ChatGPT 70件・Gemini 70件・Copilot 60件。取得できなかった回は分母から除外)
- 言及の判定
- 回答本文と出典リンクから、事業者名(表記ゆれ・別名を含む辞書照合)とドメインを検出し、言及の3状態で記録。1回答内の複数登場は1件と数える
- 言及率の定義
- その事業者が登場した回答数 ÷ 期間内の全回答数(340件)
- Q1相続の相談ができる専門家でおすすめはどこですか?
- Q2親が亡くなり実家の名義変更が必要になりました。まず誰に相談すればよいですか?
- Q3相続税の申告を税理士に依頼すると報酬はいくらぐらいですか?
- Q4相続税の申告を頼む税理士はどう選べばよいですか?相続に強い事務所の見分け方も知りたいです。
- Q5兄弟間で遺産分けの話し合いがまとまりません。弁護士に相談したほうがよいでしょうか。
エンジン名は各サービスの回答を観測した事実の記述であり、各社との提携・承認を示すものではありません。
6. このデータの限界と読み方の注意
- 観測対象は当社が辞書登録した9ブランドのみです。すべての事務所・サービスを網羅したものではなく、対象外の事業者の言及は集計されていません
- AIの回答は確率的に変動します。同じ質問でも日や実行ごとに回答は変わり、モデルの更新でも傾向は変化します。本記事の数値は上記期間の観測値であり、将来を保証しません
- 言及率は事務所の品質・実績・信頼性とは別の指標です。「AIの回答にどれだけ登場するか」だけを測っています
- 質問文の設計に依存します。5問は相談検討時の代表的な聞き方を想定して固定したもので、別の聞き方をすれば結果は変わり得ます
よくある質問
Q1. 事務所名がほとんど出ないなら、士業にAI検索対策は不要では?
言及がない一方で、引用リンクは2,398件あり、AIの回答は特定の媒体・サイトの内容で作られています。相談者がAIの案内に沿って動く以上、「引用される側」に入っているかどうかは集客導線に影響します。名指しの有無と、影響の有無は別です。
Q2. AIが事務所名を挙げないのはなぜですか?
確定的な理由は観測できませんが、士業・医療のようなYMYL領域(人生・財産に関わる領域)では、AIが個別事業者の推薦を避けて一般論と公的情報に寄る傾向が一貫して見られます。エンジン別ではCopilotのみ名前の提示に積極的でした。
Q3. 士業事務所がまず取り組むべきことは何ですか?
このカテゴリでAIが引用しているのは「選び方」「報酬相場」「無料相談窓口」の解説です。自社サイトにこの3種の情報を構造的に持つこと、および相続会議のような引用上位メディアでの露出を確認することが、データ上の起点です。まず自社が現状どう見えているかの計測から始めることをおすすめします。
掲載内容についての訂正・お問い合わせ: 掲載されている事業者の方で、データや表記に関するご指摘がある場合は、お問い合わせ窓口または support@aio-erisuguri.com までご連絡ください。事実誤認は確認のうえ速やかに訂正します。
本データの引用について: 出典として「エリスグリAIO 業界ベンチマーク定点観測(2026年8月)」と明記のうえ、計測期間を併記いただければ、本記事の数値・グラフは引用可能です。「No.1」「最も優れた」等、品質の優劣を示す表現への言い換えはご遠慮ください。
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